近視人口の急激な増加・若年化
世界的な近視人口の急激な増加
オーストラリアのBrien Holden Vision InstituteおよびUniversity of New South Walesでの研究の調査結果によると、近視人口は世界的に増加しています。
2000年における世界の近視人口は14億600万人、強度近視人口は1億6,300万人です。しかし研究の結果、2050年までに近視人口は47億5,800万人、強度近視人口は9億3,800万人にまで増加すると予測され、10人に1人が失明のリスクを抱えるというデータが発表されています。
10人に1人が失明するかもしれない時代が来るなんて信じられないですよね。
なかでも日本を含むアジア太平洋地域における高所得国の近視有病率が46.1%にまで達し、2000年時点で最も高い結果となっています。
Holden氏ら研究員は、近視人口が世界的に急増した背景に子供の発育環境の変化があると指摘しています。
特にスマートフォンの多用など、近距離を見つめる作業の増加といったライフスタイルの変化は大きく、近視予防用に設計されたメガネやコンタクトについても、更なる研究が必要だとしています。
日本の近視人口の増加
現在、日本国内の人口1億2,575万人(※平成25年総務省統計局人口推計)のうち、約1/3の約4,000万人が近視と推定されています。
外国の方が持つ日本人像と言えば、眼鏡にカメラを持っているといったイメージが多いですが、 実際にアジア人、とりわけ日本人は、欧米諸国を始めとする他のエリアに比べて圧倒的に近視が多い傾向にあります。
日本人を含めるアジア人は、遺伝や生活習慣により眼球が長く焦点が合わなくなる「軸性近視」が多いことが原因だと言われています。
さらに、近年はスマホやゲーム機の普及・長時間の使用など、生活環境の変化により、若年層における視力の低下が顕著になってきています。
日本人の抱える近視とそれに伴う視力低下の問題は年々悪化していると言えるでしょう。
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近視の若年化が深刻に
日本の近視人口は毎年増加傾向にあり、特に子供の近視が深刻化しています。
文部科学省が高校生以下を対象に毎年行っている学校保健統計調査によると、残念ながら日本の高校生以下の子供たちの裸眼視力が年々低下していることがわかります。
平成29年度の調査では、視力1.0未満の小学生の数は32.46%であり、小学生の約3人に1人が視力1.0未満という結果に。これが調査以来過去最悪の結果です。また、中高生になるとさらに増え、なんと半数以上が視力1.0未満となっています。
1.0未満の小学生の割合は、調査を始めた1979年度は17.9%でしたが、その後は増え続け、平成19年度からは毎年30%を上回っています。
幼稚園児も1979年度の16.4%から平成19年度は26.2%に達しており、ピークの平成8年度(28.9%)は下回りましたが、依然として高水準です。
これらのことから、日本の子供たちの裸眼視力は年々低下傾向にあることがわかります。
スマートフォンや携帯ゲーム機などの長時間利用が視力の低下の一因として考えられますが、 子供の生活環境が変わってきた中で視力低下に歯止めをかける有効な手立てが見つかっていないのが現状です。
子供の近視
近視は、発症年齢が低いほど進行しやすいと言われています。近視が進行し強度近視になると、網膜剥離や緑内障といった疾患にかかりやすくなり、失明・視力障害に陥るリスクが高まります。
近年、オルソケラトロジーは子供の近視進行を防ぐ有効な治療法として、各国の大学、研究機関等で積極的に研究・報告が行われ、様々な文献において50%前後の近視抑制効果が報告されております。
特に、角膜のやわらかい子供の時期の方が効果が出やすく、早く始めるほど近視進行を抑制できるという学会発表が続いております。子供の近視矯正や近視進行の抑制については、なるべく早い段階から対策を行うことが重要です。
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多くの眼科・クリニックでは、適用検査代約5,000円で1日~1週間、オルソケラトロジーレンズのお試し装用が可能です。
まずは試しに装用してみて、お子様の目の状態に合うようであれば治療を開始するという選択も可能です。
近視のお子様をお持ちの親御様は、ぜひ一度お試し装用をご検討ください。
近視が進むとどうなるの?
近視が進むと、視野異常や網膜剥離、失明にまで至ることがあります。近視の若年化が進む現代、適切な矯正や近視の予防が必要です。年に一度は眼科専門医の検診を受けましょう。
近視が進んだ場合に考えられる症状の例
視野異常
視野の異常には、視野がかける「視野欠損」や視野が狭くなる「視野狭窄」等があります。
また、視野の中心部が見えなくなる「中心暗点」もおこることがあります。これらの症状がおこった場合は、薬での治療が必要になることもあります。
網膜剥離
眼球の中は硝子体(しょうしたい)というゼリー状の物質で満たされていますが、何かのきっかけで硝子体に網膜の一部が引きずられ、網膜に小さな裂け目ができてしまうことがあります。
この裂け目から網膜とその下の層との間に水分が入り、網膜が剥がれてしまった状態を、網膜剥離といいます。
網膜剥離は放置すると失明(それまで視力があった人、見えていた人が視力を失うこと、見えなくなること)する場合があるため、手術による治療が必要です。
最近では、網膜剥離を起こす前段階である網膜分離症が、特殊な検査機器を用いると見つかることもあります。詳しくは眼科専門医にお尋ねください。